Joshua's English Lesson by Glocal Life Hakodate

函館市内近郊で英会話レッスンを運営。講師は生まれも育ちも函館。NZへ語学留学2年。札幌の専門学校で英語の専攻。【問合せ】glocal.life.hakodate@gmail.com【最新情報】SNSをご覧ください。【カテゴリー】受講料などは「当教室について」をご覧ください。

「手話」は別言語

この記事は、2020年1月に発行したGlocal Life HakodateのNews Letterに掲載したものです。 

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 2019年最後の週末。函館空港発の便は、到着機の遅れや、除雪の影響で出発が遅れていた。ゆとりがある行程で焦ることはない。大抵、到着後の機内は、降機するのに時間がかかる。また、搭乗する際も、後部座席から案内されるため、気持ちにも余裕が生まれる。搭乗し、1年半ぶりのフライトで気持ち踊っていた。その中、隣の席に20代の青年が着席した。慌ただしく出発準備をする客室乗務員が、メモと共に、その青年に一言あいさつした。手話で「わかりました」。そう答えた青年。客室乗務員の席から、すぐに案内できるように、最後部席か。そう納得していた。

 除雪が思った以上に時間がかかっている旨がアナウンスがあったが、出発準備で慌ただしい乗務員。何も情報が入らず、不安なのかストレスなのか、落ち着きがないように見受けられた。初めてニュージーランド国内線に搭乗した記憶を思い出した。

 「聲(こえ)」をかけてみた。ちぐはぐで、うる覚えの手話で。私の手話は、日本語を学び始めた外国人のようだったに違いない。

 

「除雪デ、マダ離陸待ッテイル。ソウ機内放送デ・・・」

(あぁ、なるほど!)

 

 関東から数日旅行に来ていた大学院生。函館空港の搭乗口でも、除雪で遅延する旨のアナウンスに気づくのに時間がかかったり、旅行では、少し不自由を感じることが多々あるようだ。しかし、スマホの普及で以前より自由が増えているとか。

 客室乗務員は、業務の合間でサポートを、と思っていたが、1時間半のフライトで満席状態では、中々できずにいたと降機時に申し訳なさそうに言っていた。しかし、手話をもう一度学ぼうと思えたので、逆に感謝であった。

 日本の手話は、「日本語対応手話」と「日本手話」があり、聾(ろう)者同士では、聾(ろう)者の中で独自な発達をした「日本手話」で意思疎通がなされる。「単語」や日本手話の「文法」があり、表情や手の位置、向き、動き等で、意味が通じないこともある。音声が伴う言葉でも、単語や文法、発音や綴りが違うと通じないのと共通することだ。

 

「出発スルヨウダ」「機長ガ、現在地ヲ言ッテイル」「飲ミ物無料ダヨ」「羽田混ンデイテ、30分旋回スルラシイ」同時とは言い難いが通訳をする。

 

(空の上はいつも天気が良いけど、気流で揺れると心配。怖くないの?)

(ここはどこかな?)

茨城空港ガ見エルヨ」「成田空港カナ」「JAL機ガ並行飛行シテル」

(富士山が見える)

 

 至って何気ない会話をするのに、頭をフル回転させて話している。全く英語が理解できずに留学した十数年前、どうにかして話をしていた、あの頃と同じ感覚であった。今回、この青年との2時間ほどの会話をしたことで、「日本手話」という「言語」を再挑戦しようかと思い始めた、2019年の年末。